米国が関税をあげて輸入を制限しようとしている。
昨日のブログでも述べたこととかぶるが、日本はこれを困ったことだとか、これからどうしたらいいんだ、とか悲観的に考える必要はない。米国閉じてくれるなら他国との自由貿易を推進して自分達の国際社会への影響力拡大のチャンスとすればいいのである。大変な作業であるがやる価値はある。米国は中国と仲良くするなら米国はもっと関税をあげるなど、色々妨害工作行ってくるだろうが、結局安い輸入品が入ってこなくなると困るのは米国民である。それにいずれ今トランプ大統領を支持する人たちも気づくだろう。EU、イギリス、中国、インド、豪州、ASEAN、アフリカ、有望な市場はいくらでもある。
米国の雇用統計は上向いた。製造業が米国に戻ってきたが、生産に携わる末端の人間の給料は良いものになるだろうか? ただでさえ労働コスや物価の高い米国で生産し、他国に報復関税をかけられた米国に輸出品を誰が買うのだろうか?
安い利益率が低いものの生産を物価の高い先進国で行うのは無理がある。日本はそれにこだわったから賃金が伸びなくなった。
本来、成熟し世界では一番物価が高くなった国の人間の給料は世界一高くないといけない。それを物作りで行うのは高付加価値で簡単に真似できないものを生産する場合のみである。一次産業であればブランド農産物、ブランド畜産物、地元ならではの加工品である。日本酒はそれで成功しつつある。二次産業ならば、細やかな加工技術が必要な部品、ブランドの服飾品などだ。家電も自動車も他国で十分販売に堪えるものが作れるようになったら国内の生産は無くなっていく。これは無くさないと物価だけ上がって、給料は伸びないため、国民の購買力が落ちてしまうからしょうがないのである。これを無理に保護して生産を自国に止めるとどうなるか? 生産物を輸出するためには生産コスト下げないといけない→人件費は削減→給与が下がる→購買力が下がり高いものが売れない→他の高利益率の高付加価値商品が国内で売れない→他の産業の人間の給与も減る→さらに購買力が下がる→国内産業が衰退する こういう悪循環に陥るのは目に見えているのではないだろうか?
ではどうすれば良いのか?
安いものの生産は国外で行う、高い利益率の産業を国内で生産する。この2点しかないのではないか?
一つは絶対に金融業である。金融の覇権を握った国が優位に立つ。金融が強い国には良い企業が集まる。二つ目はその時代時代で高い生産技術が必要なものの生産である。高額な医薬品、高額な医療デバイス、航空産業、宇宙産業、スーパーコンピューター、日本独自の食品、日本独自の服飾品、軍事関連物質などなどである。
またこういう最新技術を支える研究者と技術者の職の確保や教育が重要であり、それこそ国家が最もサポートしないといけないことである。福祉や医療はお金(税金)がないと何もできないので本来優先順位は低くあるべきなのだ。
常に何が日本じゃないとダメなのか考え続けないといけない。一度システムを構築したら10年安泰だなどと考えるトップがいたらもう継続できないだろう。ラットレースなのである。それが嫌なら貧乏国家になるのを甘受するしかないだろう。今は昔の発展途上国が世界の強国にのし上がりつつある。ライバルは多い。今の政権や経済の中枢にいる高齢者はそこをきちんと認識しているのだろうか?