トルコリラ暴落劇の背景

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何故金曜日にトルコリラ暴落とそれに引き続くユーロとポンドの暴落が発生したのか?

調べてみました。

まず、米国の金融正常化(政策金利の上げ)に伴い、新興国から米国に資金が移動しています。

特に金利の影響は融資に直結しているので、不動産に影響が出ますが、もう随分前から、世界的な株式市場の好調にもかかわらず、新興国リート投資信託の値動きが芳しくなく、株式市場、リート市場ではほぼ一人負け状態でした。私もブログやツイッターで新興国の不動産市場から資金が逃げていると指摘していました。

新興国株の伸びも先進国に比べて弱く、背景としては新興国景気の先行きはずいぶん前から懸念となっていました。

何故新興国の中でもトルコリラなのか?ですが、エルドアン大統領が金融経済に疎いのではないかとの疑惑があるようです。「金利を下げて、インフレを抑制する」という経済原理からすると全く意味不明な発言をしたこともありますし、大統領選後に金融政策への介入に意欲を示しているとも言います。大きく金利を下げるとトルコリラのような高金利通貨は通貨安に歯止めがかからなくなる懸念があります。また、エルドアン大統領は米国との関係が悪く、さらにトルコの通貨安を継続的に引き起こしていました。

これらのバックグランドがあるところに、トルコが一昨年のクーデター未遂事件に絡んで拘束したキリスト教福音派の米国人ブランソン牧師をめぐる問題で米国との交渉が決裂し、米国はトルコの関税を倍増しました。このブランソン牧師については日本ではほとんど報道されてきませんでしたが、米国では、特にトランプ大統領支持派にとっては最大級の関心事であり、解放を拒絶するというのはトルコが米国に喧嘩を売ったに等しい出来事で、中間選挙を控えたトランプ大統領が、交渉決裂時に何も報復行動を起こさないのはありえないとみられていましたので、今回の関税倍増は驚くべき事でもありません。今後さらに貿易上の制裁を受ける可能性も高いものと思われます。エルドアン大統領は昨年の訪米で、抗議活動をするデモ参加者に対して殴り掛かるという、飛んでも事件を起こしており、米国では完全に悪役として認識されていますので、米国の支持を得るためにはトランプ大統領にとってうってつけの素材であるという事です。

トルコのエルドアン大統領も引けない理由があります。ここで米国の要求を丸呑みしてしまうと、反政権側を勢い図かせることになり、最悪クーデター等で政権転覆という可能性もあります。強気で行かないと国内をまとめられないという事情もあります。

トルコリラの年初来下落率はアルゼンチンの通貨ペソに匹敵しています。ハイパーインフレの危機に瀕していると言えますが、トルコ経済自体は堅調で、国家の債務は対GDP比28%、財政赤字も2%とどこかの国に比べて健全で、支払い能力は通常なら問題ありません。エルドアン大統領の金融への無知が大きな原因の一つとも言えそうですので、中央銀行の独立性を維持する金利は下げないというだけである程度は収束する可能性もあります。また、諸外国、特に米国との関係改善は通貨の安定に重要と思われます。しかしながら、米国は最近のトルコへの対し方は完全に敵対的であり、今後トルコの政情はより不安定になるものと思われます。クーデター推進派のギュレン師の保護、トルコ閣僚への経済制裁、クルド人分離派への武器供給、とトルコ政権を追い詰める方針ばかり施行しており、エルドアン政権転覆が米国の基本路線なのではないかと疑いたくもなります。トルコ円のスワップ目的の買いは日本人が好む取引ですが、私は怖くて手が出せない状況です。

トルコリラのような高金利の新興国通貨は政府の財務が良くても信用がなんらかの形で少し揺らげばこの有様です。日本円は現在安全通貨とみなされていますが、時々株安通貨安に最近動く事があり、ドキッとする事があります。通貨の安定は信用一つでころっと変わる事を改めて意識しました。日本は今までの貯金で安全通貨とみなされていますが、それが永続することはあり得ないと認識しておいた方がよいと思います。信用というのは決壊するとあっという間に相場に大きな影響を与えます。

投資は自己責任でお願い致します。

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