エイジノミクスで日本は甦る 吉川洋・八田達夫 著 を読んでみた

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東京大学名誉教授の吉田洋氏の本を先週に続いて読みました。
「エイジノミクスで日本は甦る」 吉川洋・八田達夫 著
氏は、少子高齢化は経済成長を阻害するとは限らない、むしろチャンスである。新しい商品、生産方法、市場、供給源、組織を考えだし、イノベーションで少子高齢化でも経済発展が可能であると主張しています。人工減少は経済発展と関係が無いとも主張しています。重要なのは人口増減ではなくイノベーションだとのことです。
少子高齢化が進んだ社会で、必要とされる産業として、医療情報、ライドシェアリング、医療ロボット、人工知能、自動運転等を組み入れた新しい商品の需要が急激に増すとのことです。
高齢者関係消費で消費は伸びうるとも主張していました。60歳代以上で1000兆円の金融資産を持つため、莫大な消費が期待できるとのことです。
尤もな主張なのですが、イノベーションが日本で起こらないと意味がないなと思いました。バブル崩壊後、日本のGDPは1.5倍になりましたが、世界の成長からすると完全に負け組です。
最先進国である米国、英国ですら4倍になっている時期にたった1.5倍です。日本からのイノベーションはほとんど無かったと言っていいと思います。
私は医療に詳しいので医療を例に出します、高齢化社会で最も伸びる消費の一つが医療分野であることは皆異論のないところと思いますが、消費はあまり日本の利益となっていません。
医療機器は 2.8兆円市場ですが、  2015年の段階で約8000億円の輸入超過となっています。
医療機器の日本の主なシェアは、 オリンパスなどが強い軟性内視鏡 こそ98%ですが、超音波診断装置 24%、MRI 31.9%、血管ステント 1.2%、人工関節 0%、放射線治療装置 2.6%、心疾患系カテーテル 関連( カテ4% ガイドワイヤ 26% ステント 10%)、脳疾患カテーテル 10%、診断用X線装置 29%、CT 23% と散々たるものです。
医療機器の需要はもっとも伸びると馬鹿でも予想できたはずですが、日本は全くこの産業を、医療機器はリスクが高いといって育てず、医療側の研究者や企業の努力を無駄にしてきました。
今後必要とされる、高齢者消費を奪い合うライバルは、米国、中国、ドイツ、英国が主な国です。医療機器では負けを取り戻すために、今再生医療に力を入れていますが、一分野にすぎる総合的に現状を覆すことはかなり厳しいです。AIは出遅れています  トヨタ  vs GAFA ともいわれますが、GAFAが圧倒的優位なのは間違いないでしょう。IoT はコマツ、ロボット    ファナックが有力企業ですが、単独でどこまでいけることか・・
日本には、シリコンバレーや深圳の様なベンチャーが育つ土壌がある都市がありません。どちらかというと、目立つ若手はつぶされる傾向にあります。ITバブルのころをみればその傾向は一目瞭然です。面白がって、莫大なサポートをして生意気なIT企業経営者を育てる米国の懐の深さとは全く異なる反応でした。
さすがに吉川氏も、日本の風土の問題点を指摘しています。
日本の産業はメンバーシップ型の雇用形態とのことです。その企業に所属し、その企業のやり方、人間関係を重視する雇用形態です。米国などはjob 型の雇用形態です。個人の技術や知識を重視し、転職が非常に容易な社会です。弱肉強食の厳しい世界ですが、失敗してもすぐ這い上がれる環境も整っています。個人の技術、知識、人脈などが重視される社会です。日本では、「あなたは何ができますか?」と聞くと、 「部長ができます」、 「常務ができます」といった答えが返ってくるとの笑い話が現実に起こっているとの事。つまり、一企業の分化の中では、部長や常務ができますが、一旦企業内の常識や人脈が通じない環境に出ると全く使えない人間が上に立っているという事です。
吉川氏は、高齢者の消費を取り込めば経済成長はできるといいます。
確かにその通りなのですが、結局一旦メンバーシップ型人間が上から一掃されないとJob型の雇用形態に移行しませんので、イノベーションが起こらずに日本は負けてしまうのでは?と思いました。
少子高齢化 + 日本の年功序列社会 + メンバー型雇用形態
この組み合わせでは、米国や中国と渡り合えるようなイノベーションはなかなか生まれず、将来がじり貧の様に思います。
イノベーションが大事なのはよくわかりましたが、結局そのイノベーションが起こるような社会にそるのは、60歳以上の高齢者世代が権力を積極的に下に委譲し、一歩引いて、自分はアドバイザーに甘んじるという事をしないかぎり、まず高齢者主導のイノベーションなど非常にレアだろうと思います。偉そうに上で踏ん反りかえっていては、次の30年も日本のGDPの伸びは米、英、中に圧倒的に負けてしまうのではないでしょうか・・
そんな謙虚な高齢者は見たことがないですけどね。私の周囲では・・
なんとなく暗くなってしまいました・・・
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